薄型・軽量化に伴うより高い精度
折りたたみスマートフォンの薄型・軽量化は、新たな技術的課題を伴います。ディスプレイ内部の各層を薄くしながら、Samsungが定める耐久性・信頼性の基準を満たす必要があります。また、ディスプレイを支える金属プレートには、薄型化と極めて高い平坦性の両立が求められます。ヒンジも、開閉時の力に耐えつつ、製品ごとのサイズや構造に合わせて設計しなければなりません。
Samsungは世代を重ねるごとに、折りたたみデバイスの中核を担うディスプレイ層、超薄型金属の精密加工、ヒンジ技術を継続的に進化させてきました。その一例が「Flex Titanium」です。「Samsung Galaxy Z Fold8」および「Samsung Galaxy Z Fold8 Ultra」のディスプレイには、折りたたみディスプレイ構造のために設計されたチタン合金フィルムが採用されています。このフィルムの厚さは数十マイクロメートルで、人の髪の毛の太さのおよそ3分の1です。素材と構造を最適化することで、極薄でありながら必要な性能を確保しています。
一方、ディスプレイを支える金属プレートには別の技術的課題がありました。一部は約0.2mm、最も薄い部分では0.15mmまで薄く加工しますが、この領域では単に金属を薄くするだけでは不十分で、加工中に曲がりや反りが生じやすく、わずかな形状の変化でも組み立て精度やディスプレイ表面の品質に影響を及ぼすためです。ここでは、約0.2mmの超薄型金属を加工しながら、求められる形状と平坦性を安定して確保することが重要でした。加工順序、工具、冷却条件、工程パラメーターを見直し、工程を複数段階に分けることで、より高い精度を実現しています。
また、ヒンジにも同様に高度な設計が必要です。ヒンジは端末を開閉するだけでなく、繰り返しの開閉で生じる力をデバイス全体に分散し、構造的な安定性を保つ役割を担います。こうした要件は製品のサイズや構造によって異なり、前世代の設計を単純に縮小するのではなく、荷重分散、強度、耐久性、内部スペース、重量のバランスを取りながら、各フォームファクターに合わせてヒンジが設計されました。
より薄く、より軽いFold型スマートフォンは、部品を単に小型化するだけでは実現できません。限られた空間で素材を精密に加工し、力を適切に制御し、構造を最適化する。その一つひとつの精度の積み重ねが、薄型・軽量化を支えています。
より軽く、強くするための設計-素材から始まる進化
2つ目は、素材の革新です。折りたたみスマートフォンには、高い剛性が求められる部品、繰り返しの動きに耐える部品、効率よく熱を拡散する部品など、それぞれ異なる役割を担う部品があります。こうした要件に応じて素材を選定・開発し、必要な性能を確保しながら、重量と内部スペースの最適化が図られてきました。
「Samsung Galaxy Z Fold8」および「Samsung Galaxy Z Fold8 Ultra」では、折りたたみディスプレイを支える構造に、チタン合金フィルムを採用したFlex Titaniumを使用しました。外装には、薄型・軽量のフレームに必要な強度と耐久性を実現する進化したアーマーアルミニウムが採用されています。
さらに、デバイスが薄くなるほど内部で発生する熱を処理するためのスペースが限られるため、熱設計においても素材は重要な役割を果たします。熱性能を高めたグラファイトが採用されるとともに、製品ごとのサイズや性能要件に合わせて、熱設計全体が最適化されました。「Samsung Galaxy Z Fold7」とほぼ同等の外形寸法である「Samsung Galaxy Z Fold8 Ultra」では、向上した性能を支えるため、グラファイト放熱層の体積が約7%増加しました。また、背面内部にはClad Metalが採用されています。異なる金属の特性を組み合わせることで、薄型構造に必要な放熱性能を確保しつつ、軽量化にも貢献しています。
素材の革新とは単に軽い素材を選ぶことではありません。各部位に求められる性能を、より少ない重量とスペースで実現するために、最適な素材を最適な場所に採用することです。
デバイス全体を0.001g単位で見直す
基盤技術や新素材だけでは、軽量化には限界があります。高密度に部品が集積されたFold型スマートフォンでさらに数グラム削減するには、内部のほぼすべてを改めて見直す必要がありました。
そこでエンジニアは、約270の部品と180種類以上の補助部材を精査しました。対象はディスプレイ、ヒンジ、カメラにとどまらず、回路基板、アンテナ、ブラケット、テープ、固定具にまで及び、0.1g、0.1mm単位の削減を積み重ね、一部の補助部材では0.001g単位まで最適化が進められました。
プリント基板(PCB)は不要な回路を削減し、部品配置を見直すことで、占有面積が最小化されるよう再設計されました。MFC(Magnetic Flux Channel)アンテナについても、周辺部品との不要な重なりや干渉を抑える設計に改められ、限られた内部空間をより効率的に活用できるようにしました。
小さな補助部材も例外ではありません。従来使用していた180種類以上のうち約15種類が廃止され、残る約170種類についても、過剰な部分が削られ、形状や寸法が最適化されました。可能な場合には、複数の部品を一体構造に統合しました。個々の変更は小さく見えても、その積み重ねはデバイス全体で大きな差となります。0.001g単位の改善が0.1gとなり、やがて数グラムの軽量化につながります。完成したデバイスの軽量化は、数百に及ぶ細かなエンジニアリング判断の成果です。
さらなる進化のために重量を再投資し、より多くの体験へ
Samsungが目指したのは、エンジニアリングによって生み出した重量と空間を、ユーザーが実感できる機能へと再投資することです。その代表例が、バッテリー、カメラ、熱システムです。
「Samsung Galaxy Z Fold8 Ultra」はこの考え方を示すひとつの例です。「Samsung Galaxy Z Fold8 Ultra」と「Samsung Galaxy Z Fold7」は、ほぼ同等の外形寸法でいずれも215gです。しかし、同じ重量の中で、「Samsung Galaxy Z Fold8 Ultra」はバッテリー容量を4,400mAhから5,000mAhへと拡大しました。バッテリーそのものは約6g重くなっています。開発チームは「この6gを、どこで減らすか」という新たな課題に直面しました。
答えとなる単一の部品はありません。素材と構造、回路レイアウト、部品配置、そして最小の補助部材まで、デバイス全体に同じ体系的なアプローチを適用し、あらゆる部品から軽量化の余地が探されました。
この考え方は、内部スペースの最適化にも及びます。ディスプレイ、回路、アンテナ、周辺部品の不要な重なりを減らし、パッケージング効率を改善することで、より大きなバッテリー、強化された熱システム、カメラシステムのための空間が確保されました。その結果、「Samsung Galaxy Z Fold8 Ultra」は5,000mAhのバッテリーを搭載し、同等サイズの「Samsung Galaxy Z Fold7」と比較してグラファイト放熱層の体積を約7%増加させています。さらに、約2億画素の広角カメラに加え、Samsung Galaxy Z Foldシリーズで初となる約5,000万画素の超広角カメラも搭載されました。
Samsungの薄型・軽量Fold型スマートフォンへの取り組みは、単に機能を削ぎ落とすのではありません。設計の最適化によって重量と内部スペースを生み出し、ユーザーが求めるフラッグシップ体験の向上に活用されました。
253gから201gへ、Foldの重量基準を再定義
2019年、276gの初代「Galaxy Fold」から始まった道のりの中で、Samsungは8世代にわたり、折りたたみ体験を支える技術、素材、内部アーキテクチャーを進化させてきました。近年、この進化はさらに加速し、「Samsung Galaxy Z Fold5」の253gから「Samsung Galaxy Z Fold8」の201gへと到達しました。しかし、このストーリーは重量を削減することだけが目的ではありません。Samsungが目指してきたのは、大画面のFold型スマートフォンの携帯性を向上させながらも、フラッグシップスマートフォンに期待される体験を損なわないことです。
基盤技術、素材、部品設計の進化によって生み出した重量とスペースは、バッテリー、カメラ、熱システム、そしてユーザーが重視するフラッグシップ体験へと還元されています。
253gから201gへ。この変化を可能にしたのは、単一の素材や部品ではありません。8世代にわたるエンジニアリングの積み重ねが、「Samsung Galaxy Z Foldシリーズ」をより持ち歩きやすくしながら、妥協のないフラッグシップ体験を実現しています。
数字で見る「Samsung Galaxy Z Foldシリーズ」

より詳細な情報は、以下のリンクから動画で確認できます。
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